競技スキーから指導者への変化や、スキー、スキー靴、バインデング等メーカーで開発或いは販売促進に携わった観点から見たスキーの変化・滑り方・考え方に付いてぼちぼち「岡澤のスキー観」と言った様なものを書きたいと思います。
私は2011年の12月に67才になりました。
世間で云う還暦をとうに過ぎ年金をいただける年齢にです。
フランスの国立スキー登山学校に留学し、フランス国家検定スキー教師になり、その後イタリアスキー教師協会からのお招きでイタリアへ、そしてイタリア国家検定スキー教師資格を頂きました。
それがイタリア・オリンピック委員会からのものであったのには驚きましたが・・・。
フランスでは「正対したターン」と「ねじれと戻りを利用したターン」を習い。
イタリアでは「サイドカーブを利用したターン」を習いました。
それらを「複合したものが現在のカービング」と呼ばれるターンだと思います。
スキーメーカーのテスターで新しいスキーの開発に携わったり、SIAメダルの開発と実施、ESSバインディングの販売戦略立案とその実施等、あれやこれやでスキー関係で早40年もの月日が経ってしましました。
いろいろな国のメソードがあってとても面白かったし参考にもなりました。
スキー技術を毎年モデルチェンジして、海外に輸出する事が国益と考えている国もありました。
ここ10数年スキー場を見ていて不思議だと思っていることがあります。
私はレッスンではあまり沢山しゃべらないし、沢山の欠点を指摘することもしません。
「どうやって教えるか」ではなく、「どうやって練習方法や技術を覚えてもらうか」を考えています。
教師が教えても、生徒さんがそれを覚えてくれなければ、教えた事にはならないと思っているからです。
見渡してみると、教える先生は沢山いますが、
生徒さんに「上手になれるやり方を覚えてもらえる先生」はなかなか居ないように思います。
もう20年も前の国際スキー指導者会議の時に、「これからは国ごとに違うやりかたを発表するのではなく、そのスキーヤーがどのようなスキー環境と楽しみ方をするかで教えるものが違って来るからそれに焦点を当てた話会いを・・・」と云う事も出ていたのに、日本では現在まであまりそのような方向が出てこないのも不思議の一つです。
確かに初級者から指導員まで1本の線で繋がる事も方法の一つですが、全てのスキーヤーが指導者になるわけではない事も事実です。
だからこそ、生徒さん一人一人のあった練習方法や上達方法を的確にアドバイスしてあげられるよう、考えながら日々レッスンに挑んでいます。
60を過ぎた今でも、学び続けられる事は幸せな事ですね!
ここで、「Club60/60」を取り上げたいと思います。
60才になっても1日60km位を何日か続けて滑れる事を一つの目標とした、勝手に集まる会
それが「Club60/60」です。
実はこの考えはずーと昔から感じていた事を実践してもらう会でもあります。
とても大切な事:ブレーキ
滑る事、曲がる事、フォーム、など大切な事がいっぱいありますが、その中で一番大切なのはブレーキ【しっかり止まれる事】だと思います。
どんなスピードであっても制動距離を考えながら、安全に滑れる事が一番重量です!
基本姿勢
ハイナチュラル:初心者の頃に習った覚えがあると思いますが、直滑降姿勢に近い形です。
現在の私が考える基本姿勢はハイ・ナチュラルと言っています。
これはブーツをより合理的に活用できる姿勢です。
そしてなによりも大切なことは長距離を続けて滑ることも、またハイ・スピードにおけるG(ジー)に充分対応出来るとい言う事です。
ターンの原動力 「ねじれ戻り」
人間の身体は弾性体です。
ちょうど上から吊したタオルをねじって下を離すと元に戻ろうとします。
下におもりを吊してやってみるともっと早く戻ろうとします。
たるんだ状態よりも伸びている時の方が戻る力は強くなります。
ねじれを作り、ねじれを開放すれば、戻る力を回転に使えます。
これを使えば効率的な動力が簡単に手に入ります。
ねじれの角度と立ち上がりの速さを組み合わせる事によって、自由自在な回転を使える様になります。(立ち上がりと、スピードが充分ある時には沈み込みは同じ効果があります)
1)上体の固定
2)「ニュートラル・ポジション」(ツルツル)に状態
回転角と回転の速さ
曲がる斜滑降(なんて・・・変な名前ですが)
スキー:カービングと一口に言いますが、曲がりやすいものと切り込んでいくものとの2つがあるにもかかわらず、日本ではまとめて1つにしているように見受けられます。
曲がりやすいものは、初心者用あるいは初級者用のもので、サイドカーブから発生したずれを基本としたターンが中心になります。
切り込んでいくものは、ねじれも強く反発力も大きい、曲がる斜滑降が出来るようなスキーです。
サイドカーブの大きさ(ラデウス)が11メートルから22メ-トル位間であり表示されていますのでご自分のスキーを見てください。
長々と記述しましたが、ちょっとでもご興味を持っていただけた方、是非一度お越し下さい。
「私が習ってることとずいぶん違っている」と感思った方、じゃあどのように練習すれば良いのか?と疑問に思った方、若い方でもスノーボーダーの方でも歓迎しております。
ご意見、ご質問はメールをください。
岡澤伸夫 |